こう言ってはなんですが、皆が皆、モンテッソーリ環境に通う必要はないと思っている。マリア・モンテッソーリが発見したのは、世界中の乳幼児に共通する命の仕組みのようなもので、それを系統的に学んで実践することで、私はとても感動してしまって、一番しっくりきた方法だから、自発的に選んで取り入れている。けれど、モンテッソーリ教育に限らず、乳幼児の発育に関する仕組みや秘密のようなものを少しでも知り、それによってお父さん、お母さんのストレスが減り、家庭内での親子紛争が減るならば、特別な環境に通わずとも、それはそれで十分に価値があることだ!!と思っている。
上質の水、土、気候(寒暖の差がはっきりとしている)の3条件が最高にからみあう土地でお野菜を育てているというご家族のお話を、最近お聞きする機会があった。自然の仕組みを最大限に活用して丁寧に育めば、本当に細部にいたるまで、これだ!!という、その野菜本来の最上の質感のものを作れるとか。
ミニトマトですら十分に育てる自信のない私だけれど(苦笑)、このお話はとても良く分かるような気がした。十分に理解していても、いなくても、タネをまけばそれなりに野菜が(途中までは)育つように、自然の仕組みというものは常に働いていて、その仕組みをよく理解して育めば、その命本来の力を最大限に借りながら、伸び伸びと育めるのだと思う。
「一人でできるように手伝ってね!」と、世界中の乳幼児が、声にならぬ声で大人に訴えていることをモンテッソーリは発見したと言われている。米国での研修中にブログを書いていた時も、周囲でにわかに子ども環境の模様替えが流行ったことがあったけれど(笑)、仕組みを理解して育むと言っても、これなら取り入れたいなとお母さんが思えることから取り入れるくらいが、一番良いのかもしれない。
身近に取り入れやすいのは、子どもサイズのピッチャーと小さなグラスを用意してあげることや、バナナも、赤ちゃんであれば、小さな切り込みを入れておいてあげれば、一人で皮をむいて食べることができる。少し大きくなれば、バナナ等を丸ごと与え、まな板とお母さんにとってストレスのない(とても大事!)包丁(バターナイフ等でも良い)を用意してあげれば、まな板と包丁という本物の道具を楽しむ子も、とても多い。
とにかく、母親(父親)にとってストレスがないということが最重要で、食べ物系が面倒であれば、その子の年齢にあった筆記用具と紙、文房具をコップに入れて立てて置いてあげるだけでも良いと思う(アメリカでも日本でも、これが一番長続きするみたい。)。コート系も、背丈に合うところにフック一つ置くだけで、諸問題が解決したりもする。
もっと本を手に取ってほしいなーと思えば、絵本の表紙を見えるように置くというだけでなく、その一角をくつろぎやすく、居心地の良いスペースにすることがおすすめ。ロッキングチェアーなんてなくったって、家庭にある赤ちゃん用の小さな座椅子やただの座布団でも良いし、肌触りの良いラグや赤ちゃん時代のブランケット、クマのぬいぐるみのようなものも子ども達は大好きだ。スペースも、狭い方が幼い子ども達はかえって落ち着くくらいで、死角になっている小さな空間で十分だ。
モンテッソーリ教師であれば、何か新しいお仕事やエリア、環境を準備した時に、自問自答しなくてはいけない質問(要件)がいくつかあり、その一つは、子ども達にとって、invitingであるかどうかという点だ。子ども達の内側からの意欲を喚起するような、誘うような環境であるかどうかということだけれど、家庭で取り入れるならば、それに加えて、しつこいようだけれど、お父さん、お母さんにとってストレスがなく、お父さん、お母さんがそうしたくてしているかどうかということが、最重要だと思っている;)。
ということで、皆が皆モンテッソーリ環境に通わなくても、こうやって乳幼児の発育の仕組みみたいなことが少しでも知られることで、家庭内での大人と子どもとの間の余計な紛争が減れば、それだけで本当に素晴らしい!!と、今も昔も変わらず思っている。その上で、小さな環境ができたので、お家ではできないことにもご興味があれば、ぜひ見にいらしてくださいというのが正直な気持ちです:)。2月19日(月)には、津山のYOGARTさんで、親子クラスをさせていただきます。ご家庭でもできるちょっとした工夫や、日々の育児のあれこれをゆるやかに分かち合える場になれば思っています。皆さまにお会いできるのを楽しみにしています!(ご予約は、nishiawakuramontessori@gmail.comまで)